![]() | フリー~〈無料〉からお金を生みだす新戦略 小林弘人 日本放送出版協会 2009-11-21 by G-Tools |
世の中の「フリー」サービス・製品がどのように発展してきて、実現されていて、変化していくのかがトウモロコシの栄養価から音楽を安く作り出して広告タイアップで稼ぐ中国のレーベルまでを材料に非常にわかりやすく解説されている。
アトムとビット両面で何が起きているのか、
青い薔薇よろしくfree lunchがどうしてうまれてくるのか、
物の価値はどこにあるのか、
そのなかで「プロ」はどうやって生きていくのか、
何がそのひとを「プロ」たらしめるのか、
(米)出版業界の旧態依然とした態度、
そしてgoogleの破壊力を、
あらためて整理することができた。
サービスのほとんどをフリーで提供し、さらに優遇されたサービス(スピードが速いとか機能が多いとかクオタが広いとか)を有料で提供するサービスの形態を「フリーミアム」という。
フリーミアムのモデルでのサービスにおいて最適な有料アカウントの割合は5%であるらしい。
それ以上であれば、「フリー」を活用し切れていない、それ以下であれば「フリー」に飲み込まれてしまうかもしれない。
実際のダウンロードゲームは2,3%でペイしいるし、「フリー」を生かしつつも高い有料アカウント率を保持しているオンラインゲームも多数紹介されている。
結局のところ、フリーミアムモデルにおける課金のキモは「時間を売る/買う」ということにつきる。
サンシャイン牧場でリアルマネーで高級肥料が買えるのは、つまりそういうことで、王道そのもの。
bmはWebサービスでのフリーミアムモデルで有料アカウントへのステップアップは結構躊躇する方だ。多くの場合、実際に支払う金額はいくらでもないし、クレジットカードとpaypalアカウントがあれば、本書で指摘されているほど支払い手続きも面倒ではないしセキュリティの不安も、プライバシーの不安も持っていない。
ただ、歯止めがかからなくなりそうで怖い。どうせ安いから使わなくてもそれほど損害ないし、とサービスに申し込みまくるとチリも積もって山となるし、管理しなければならないアカウントも大変なことになる。(フリーのうちであれば面倒になればアカウントを捨てて作り直せばいいが、有料アカウントは契約解除にアカウント情報が必要なので。)
いつもチェックしない携帯電話の明細がたまたま目に入ったときに、あまりのリストの長さ(その多くは着メロやら時計やらの、300円とかの小さな物ばかり)に仰天したのを思い出す。全部解約したら月10000円くらい浮いたのはちょっとした幸福感。
結局今は、仕事に使える物か、3日おいてモチベーションを維持しているサービスだけにして制限をかけている。そのおかげで、だいぶ身軽にはなった。
本書のテーマは「潤沢」が生活を変える、ということだった。
「希少」な物にしか価格はない。「潤沢」はFreeだ。
そして希少な物は、そのうち潤沢な物に代替される。(化石燃料が代替されるのは近い未来か?)
毎年コストが半分になっていくビットの世界では、代替されるまでもなく希少が潤沢に変わっていく。
最後に残る希少はなんだろう。 やっぱり「人間」なのだろう。
本書内で指摘されている、「フリー」を直感的・生理的に警戒するover 30の世代も、本書を読んだ後なら、きっと安心して「フリー」に自分の身と時間を預けられるようになるだろう。
そして、フリーミアムの有料アカウントになった暁には、それ(手続きの手間とわずかながらの出費)で、自分以外の19人の知的生活を養っているのだ、という小さな自己満足を得ることができるだろう。
I'm free〜♪


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