なんくるないさ

夜の沖縄。
居候2人組がポークを炒めてくれた。
知り合って、既に7年になる彼らと久しぶりに島を飲んで、
割り箸で、カリカリになったポークをつまむ。
当時は、内地に来た彼らのネェネェだった私なのに、
昨日は、ふたりが私のニィニィになっていた。

Kトラックに乗り込んで、北中の暗い道を軽快に走るの。
安谷屋の交差点を右折して、今度は坂道をどんどん登って、
左に外人住宅を見ながら、くねくねと坂を曲がると、
今度はうっそうとした木々が道を覆う。
黄色に光る、ヤギバルホテルの看板がポツリとあって、
そこを抜けて頂上へたどり着くと、
オレンジのライトがずっと先まで広がる米軍基地が一望できる。
潮風で髪が口にまとわりつくけれど、なまあたたかい空気は優しい。
かすかに聞こえる、嘉手納基地を拠点にする飛行機のエンジン音。
なんだか、とっても懐かしい。

横須賀の米軍基地へ通っていた頃、こんな色と音だったことを思い出した。
ベースの中は、殺風景で、風が強くて、洗剤の香りがして、みんな無言で、夜は闇で・・・
こんな音がする港で、キティーホークの屋上から海を見せてもらったの。
そんなことは、もうすごく昔のことになっていて、引き出しの奥にしまってあるから、
たまに思い出すと、心がほんわか暖かくなるこの感覚がちょっと新鮮で。
あの時の友人達は、また船に乗ってどこかの海で戦争の準備をして、
場所は教えられないけど、元気だよと、どこかの海からメールを送ってきた。
そして何ヶ月もして帰ってくる・・また出る・・また戻る・・・を繰り返して、
最終的にアメリカへ帰っていった。
もう何人も見送った。

東京は寒いなー
あの、潮風の香りも、静かな闇で響くエンジン音も、騒音にかき消されて、
明るい建物と楽しい音楽で、街全体がおもちゃ箱の中みたい。
でもそこは、それなりに居心地が良くて、時間がゴウゴウと速くって、
癒されることを知らないでも、力強く過ごすことができる。
「なんくるないさ  なんくるないさ」
都内でこの言葉を出すと、なんだか気持ちいいな。
アッタカイところで育った人は、サムイことを知らないから、
サムイところへ行ってみないと、自分がアッタカイところにいたことが分からない。
なんでも、どこでもそうなんだよね。
東京は寒い。
だから良かったな。


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